OD(起立性調節障害)
起立性調節障害(OD)は,自律神経という「体を自動で調節してくれる仕組み」がうまく働かなくなることで起こります.特に「急に立ちあがる」ことで血圧や心拍が変化する際,自律神経が適切に対応できず脳への血流が減るため,めまいや立ちくらみ,だるさなどの症状が出ることが特徴です.
その原因は明らかではありませんが,以下のような要因が関係すると言われています.
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思春期によるホルモンの変化
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成長期の体の変化に自律神経が追いつかない
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精神的ストレスや不安,体調不良など
ODによって引き起こされる症状
起立性調節障害のお子さんには,以下のような症状が見られます.
身体の症状
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朝がとてもつらく、なかなか起きられない
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めまいや立ちくらみ
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倦怠感や疲れやすさ
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頭痛、動悸、吐き気
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入浴後や運動後に気分が悪くなる
生活の困りごと
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朝起きられず,遅刻や欠席が続く
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学校に行きたい気持ちはあるが体がついてこない
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周囲から「怠けている」「やる気がない」と誤解されやすい
ODの診断と治療について
当院では,以下のような流れで診断と治療を行います.
1. 問診と除外診断のための検査
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起床時の様子,学校生活,症状の持続時間などをうかがいます.
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貧血や心疾患,てんかんなどの神経疾患を否定するため,必要に応じて検査を行います.
2. 起立試験
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朝一番にご来院いただき,横になった状態から立位へ移行したときの血圧や脈拍の変化を確認します
3. 治療
以上の検査結果から,ODのタイプ診断を行い,必要に応じて治療を行います
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規則正しい生活リズムの確立
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水分・塩分の十分な摂取
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体位の工夫(立ち上がるときはゆっくり)
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筋力トレーニングや軽い運動の導入
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必要に応じて薬の使用(昇圧剤、漢方薬など)